【外国人向けの説明】日本の建物はなぜ壊れずに残っているのか ~1限目~
外国の建物は地震で壊れるのに、日本の建物はなぜ壊れないの?
木造で出来ている古い建物がなぜ残っているのか?
建築を長年教えているので、私の知識の中ではありますがその理由を書きます。
理由1 日本は地震大国だから建物が地震に対応している
まず世界で発生している地震の力の約1割が、日本で発生しています。
国土の広さは、全世界で比べると0.3%も満たない国が、10%の地震の力を受けています。
そこに住む人は、地震に対応した家を経験から建てる様になります。
もちろん、大きな地震が起きて無傷ではありません。
壊れる家もありますが、直せるなら直して使います。
柔い構造なので、ずっと無傷のままではありません。
昔から残っている、建物は色々な部分に補修を繰り返しながら現在まで残っています。
しかし、小~中地震位なら、昔の家は耐えています。
理由2 構造的に地震の力を逃がしている
現代の家は剛工法と言って、硬い工法で地震の力に耐えています。
それに比べ昔の家は柔工法と言って、柔らかい構造で地震の力を逃がしていました。
壁の構造が貫工法と言って、柱を薄い板でつないでいます。
そして壁を、竹と土で作っています。
地震が来ると貫や土壁がまず耐えますが、それ以上の地震が来ると土壁が壊れ、次に四角の壁がひし形になり、地震の力を逃がします。
建物自体は傾いてしまいますが、引っ張って元に戻すことが出来ます。
そして、土壁をまた塗りなおして元通りにします。
つまり、家が少し壊れる事によって、地震の力を逃がしています。
構想的に、頻繁に起こる小さな地震なら耐えれます。
日本では小さなな震度の地震なら、1日に数回~数十回発生してます。
ちなみに五重塔は特殊な構造をしています。
建物の中心に柱がある構造です。
その柱を心柱(しんばしら)と呼びます。
その心柱が、地震の力を逃がしています。
スカイツリーも同じ構造を使っているので驚きです。
ちなみに五重塔は木造の心柱、スカイツリーは鉄筋コンクリートの心柱です。
また清水寺、特に下側の部分は、懸造り(かけづくり)と呼ばれ、巨大な貫構造になっています。
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