木材は水分を含んでいる、含水率が低い木材を使うと良い家が建つ理由

『1から学ぶ建築教室』

良い家を建てる条件の一つ

たぬき
たぬき

木材の含水率を20%以下にして家を建てるといい家が建ちます。

もっと含水率が低いともっと良くなりますが、その分価格が上がります。

乾燥させるには、時間とお金がかかります。

では含水率とは何でしょか?

何故、含水率が低いといいのか?

を説明していきます。

木材は水分を含んでいる

樹として山の中に立っている時は当たり前ですが、木材として加工されてからも、水分を含んでいます。

その水分量を含水率と言います。

木材100g水分100gを含んでいたら、その木材の重さの合計は200gになります。

その時の木材の含水率は100%になります。

下記が含水率の計算式の例です。

例1)   木材100g + 水分100g =総重量200g →含水率100%

例2)   木材100g + 水分50g =総重量150g →含水率50%

例3)   木材100g + 水分20g =総重量120g →含水率20%

例4)   木材100g + 水分200g =総重量300g →含水率200%

生木などは100%以上になります。

ではどのくらいの含水率がいいのか?

最終的な含水率は14%前後になります。

基本的に含水率が10%以下や、ましてや0%になることはありません。

それは大気に水分があり、木材は吸湿・放湿性があるからです。

普通、現場に運ばれる木材は含水率20%ほどです。

そして家を建てて時間が経つと、木材の水分が蒸発し14%位までの含水率になります。

大気中で安定した含水率です。

ちなみに、その含水率14%位の木材の重さを専門用語で『気乾比重(きかんひじゅう)』と言います。

人工的に無理やり乾燥させ、含水率0%にした状態を『絶乾比重(ぜっかんひじゅう)』と言います。

絶乾比重にした木材をそのままにしておくと、大気の水分を吸収して気乾比重に戻ります。

含水率が高いとよくない事とは

含水率が高いと乾燥した後木材が変形します。

木材は水分を放出すると、縮む性質があります。

たぬき
たぬき

正確には、含水率30%以下から縮んでいきます。

最初に細胞の外にある自由水が蒸発し、30%以下から細胞内にある結合水が蒸発します。

すると木材の細胞が縮みます。

なので、含水率が高い木材を使うと変形する確率が高くなります。

その様な木材を使うと激しく変形し、床の平面が変形したり、家の骨組みがゆがんだりします。

悪いことだらけですね。

ではなぜ、含水率の高い木材を使う場合があるのか?

それは含水率を下げるには手間がかかり、その分お金が必要になるからです。

木材が変形しない(暴れない)為には、含水率が低い木材を使う必要があります。

その為にはお金がかかるという事です。

人工乾燥(KD材といいます)でも費用がかかりますし、天然乾燥なら更に費用がかかります。

天然乾燥(AD材といいます)でなら、『1寸1年』という言葉があります。

1寸=約30㎜の木材を乾かすのに、天然乾燥だと1年かかるという意味です。

通常柱で使われる105㎜や120㎜角の柱なら、3.5~4年かかるという事です。

その期間の保管や手間の価格は、人工乾燥よりかなり費用が掛かります。

ただ現在の家の構造(在来軸組工法)なら、天然乾燥の柱を使う必要はありません。

昔の工法(伝統軸組工法)なら天然乾燥木材を使う理由があります。

(詳しい話は別の機会に)

なので、通常の現場では含水率20%位の人工乾燥の木材を使用し、家を建ててから時間経過とともに自然に乾燥して14%以下になります。

最初から14%ほどの木材を使用する事が理想ですが、その分費用が必要だという事を理解する必要があります。

安い費用で、含水率の低い良い木材は使えません。

そして含水率ほど一般の人は分かりづらいものです。

含水率低さ費用の高さ反比例の関係にあると思って下さい。

まとめ

良い家を建てる為には、乾燥した良い木材を使わなければなりません。

その為にはある程度の費用は必要だと思って下さい。

良い家である為には、建てる時も立てた後も、水分を操作するという事が大事です。

おわり

次の記事

【マンガの一覧】

コメント

タイトルとURLをコピーしました