教える内容を図形にすると、学生の理解度が上がる教材の作り方

『1から学ぶ建築教室』

上手くいかなかった授業経験

説明が終わって、学生が分かっていない、理解できていない、点数が悪い等、その様な経験をしたことが、若いうちに良くありました。

成果が表れない授業です。

まあまあショックを受けますし、学生にも無駄な時間を過ごさせたと感じて、自己嫌悪に陥ったりもしました。

秘儀は『図形化』

シンプルに作った教材が悪かったのです。

前回の『短いスパンで教える』事と同様に、私が重要視している教え方があります。

その一つが、『図形化』です。

効果的な教え方です。

また教える側にも、効果的な理解方法の一つです。

図形化の理由

では、なぜ『図形化』しないといけないのか、それは自分が教える内容を理解できていないから、図形化できないのです。

自分が理解していないのに、図形を使わずに言葉で説明しても学生は理解できません。

私が、さんざん経験してきました。

※もしくは、教える内容が分かりすぎ・レベルが高すぎて、教え方を工夫していない・相手の理解度を超えて教えている場合があります。

初めて受け持つ授業ほど、内容の理解と図形を作るのに手間と時間をかなりとります。

少なくても教える時間の3倍以上の制作時間を使います。

私はマンガも描けますが、学科の授業にマンガをほとんど使っていません。

図形の方が説明しやすく、学生に理解させやすいからです。

(※ただ複雑な動きを表す実技にはマンガを使っています。)

学生が理解しやすいために、特にパワーポイントなので説明する場合は、ほとんどのスライドに図形や写真を載せます。

失敗している図形化

「写真や図形は教材に入れているよ」と思われている教員の方もいるかもしれません。

しかし、教える内容の『図形化』はシンプルに見えて、意外とできていない教員が多いです。

なぜ多いのか?

それは絶対的に図形が少ない、また適切な図形を作れていない事にあります。

絶対的に図形が少ない理由に、ただ図形や写真を載せているだけがあります。

そのあとはひたすら言葉で説明している。

それで理解できているなら問題ありませんが、学生が理解していないなら変えた方がいいと思います。

図形化の例

例えば、正解の図形だけ載せている場合です。

正・誤は比較して載せることが重要です。

正解だけでは何が間違いなのかわからず、言葉だけで間違いを説明されても、頭の中で『言葉』→『図形』の変換が苦手な生徒は理解できなくなります。

下記がその一例になります。

上記以外にも失敗例はあります。

・図形は1枚のみ →足りない場合に複数枚載せる

         →写真を一緒に載せる

・図形が平面的  →立体的な図形にする

         →または平面と立体の併用(↓例)

作品例

図形の制作に、特殊なツールやアプリを使わなく、パワーポイントの『図形』の機能で作っています。

パワーポイントの『挿入』→『図形』でほとんどの図形やイラストが使えます。

特に『図形』の中の『フリーフォーム』を使います。

下記が実際に 『挿入』→『図形』 だけで作った図形です。

コツは、大きいサイズで作って、そのあと『グループ化』で図形を一体化して、適度なサイズに縮小する事です。

大きなサイズで作る理由は、細かい部分まで表現しやすくなるからです。

(実習で使用している図形例)

(学科で使用している図形例)

作成手順

どのように図形を作っているのか?

下記のような順序です

  • 教える内容の文章を読む
  • 「どの様な図形・イラストにしたら学生が理解できるのか?」を考える
  • 考えた・思いついた図形の手書きを描く ※練れてきたら直接④を仕上げる
  • パワーポイントで図形を制作する

また写真やフリー素材のイラストなども使用すると教材のクオリティーが上がります。

段々上手くなる

はじめはうまくできないかもしれませんが、数を重ねていくうちに段々と上手くなります。

わたしも最初の頃は下手で、今でも昔の教材を見ると下手だった感じることが多々あります。

最近の作品にもあります(笑)

アニメーション(図形に動きをつける)

また、図形に慣れてきたら、パワーポイントの図形に動きをつけるアニメーションを使用するといいです。

注意点とすれば、必要が無いのにアニメーションを使用・多用しすぎるとわかりにくくなります。

アニメーションを使用する基準としては、動きが無いと図形だけでは、分かりづらい感じた時です。

ちなみに私が多くのアニメーションを使用した教材は構造力学です。

下記のスライドのように、図形と公式の関係性の説明をまとめてすると学生が理解できないと思ったからです。

また最初からデータ、例えば部材名称など、多くを出しては分かりづらい時にも使用します。

『内容の理解』と 『脳のCUP』

図形化するもう一つの理由は、当たり前すぎますが学生が理解しやすいためです。

私は『脳のCUP』 で例えます。

図形があるとないとでは、教えられた内容の理解のために『脳のCUP』の使用率が違うと考えているからです。

学生の内容の理解までの順序は『脳のCUP』を100%割合ですると、下記になります。

数字はあくまでも例です。

【図形がない場合】

  『言葉の理解』(20%)→『言葉を頭の中で図形化する』(20%)→『内容の理解』(60%)

【図形がある場合】

  『図形化の理解』』(20%)→『内容の理解』(80%)

図形があるとないので、最後の『内容の理解』に20%差が出ます。

最も『脳のCUP』を使わなければならない内容です。

なので、それまでの工程をいかに少なくして、『脳のCUP』を『内容の理解』に集中させるのかが重要だと考えています。

その為の図形化です。

最初は大変かもしれませんが、頑張った分、学生が喜ぶ教材が出来るはずです。

まずは、是非作ってみて下さい。

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